早稲田大学石田研究室


対向直進二輪車の昼間点灯が右折待ちドライバーに与える影響
藤川 直樹


1.はじめに
1996年以降の国内向け販売車両の二輪車には自動昼間点灯が義務付けられている。研究で得られている昼間点灯の正の効果には、1)非点灯車両に比較して可視性、誘目性が高い2)検出可能な距離、角度が向上する3)遠方で検出可能であり、より近くに見える4)車両の同定を向上させる、といったものが挙げられている(Koormstra, M, et., al; 1997)。また、最近では、四輪車に対しても早い時間からからの昼間点灯を推奨している都道府県が増えており都営バスや平和タクシーなどの公共機関では、既に昼間点灯を導入している。しかし、四輪車の昼間点灯が二輪車の被視認性に与える影響については、あまり研究がなされていない。四輪車が昼間点灯することで二輪車の昼間点灯の効果が打ち消される可能性が考えられる。

2.研究目的
本研究では対向車線を二輪車と四輪車が走行してくる場面を想定し、四輪車の昼間点灯が二輪車の被視認性に与える影響を調べることを目的とした。また、交通事故において、右直事故の死亡率は高い。そこで、実験場所を模擬交差点とした。

3.実験
実験は、早稲田大学所沢キャンパス駐車場で行った。早稲田大学学生20名を被験者とした。被験者には、右折待ちの四輪車に乗車しているつもりで椅子に座ってもらった。被験者には、対向二輪車までの主観的距離を回答するよう求めた。左端を0m、右端を100mに見立てた直線に、垂線を引く方法で回答してもらった。
被験者から二輪車までの客観的距離は、20m、40m、60mの3条件とした。四輪車の昼間点灯の影響を検討するために、図1の下に示すように、二輪車の前、横、後に四輪車を配置した。実験条件は、被験者から二輪車までの距離3条件(20m、40m、60m)×四輪車の相対位置3条件(前、横、後)×二輪車点灯の有無×四輪車点灯の有無の36条件とした。
実験は、36試行を1セットとし、3セット行った。試行の順序は、ランダムに設定した。
 
4.結果と考察
 図1は、各条件と被験者が回答した二輪車までの主観的距離を示したものである。点灯条件別の昼間点灯の効果の有無を明らかにするために、二輪車の点灯有無、四輪車の点灯有無、四輪車の位置を要因とした3要因分散分析を距離別に行った。いずれの距離でも2次交互作用が有意であった(それぞれ20m: F(2, 38)=7.66, p<.01; 40m: F(2, 38)=36.71, p<.01; 60m: F(2, 38)=3.94, p<.05)。そこで、二輪車の点灯有無に着目して多重比較を行ったところ、距離20m、四輪車位置前、四輪車点灯無し条件(20m前無条件、以下他の条件も同様に記載する)で、有意に二輪車点灯の方が消灯より主観的距離が近くなった(p<.01)。同様に、20m横有条件、40m後有条件、60m横有条件、60m後有条件でも、有意に二輪車点灯の方が消灯より主観的距離が近くなった(p<.01)。
客観的距離より主観的距離が短いと対向右折車両にとって安全であると言える。20m横有条件では、車両が点灯しているとき、二輪車が近くに見えている。この結果に限り、四輪車の昼間点灯は、二輪車の視認性を向上させるものと言える。また、客観的距離よりも主観的距離が長いと対向右折車両にとって危険であると言える。20m後有、40m横有条件などでは、車両が点灯しているとき、二輪車が遠くに見えている。この結果からは、四輪車の昼間点灯は、二輪車の昼間点灯の効果を打ち消すものであると言える。
 分析を行った結果、多くの条件で有意差がみられた。結果に一貫性は、みられなかったが、四輪車の点灯有無により二輪車までの主観的距離が、変化することが分かった。四輪車の昼間点灯には、安全側だけでなく危険側の要因が含まれていると考えられるため、四輪車の昼間点灯を推奨するには、詳しく実験し、検証する必要があるだろう。

5.課題
今回の実験では、晴れの日のみで実験を行い条件の統制を行ったが、曇りの日や雨天時での昼間点灯の効果も測定する必要がある。
また、今回は、車両を停車させて距離感の測定を行ったが、車両を走行させて実験を行う必要がある。

6.文献
Koormstra, M., Bijleveld, F&Hagenzieker, M. :1997 The safety effect of daytime running lights ,R-97-36, SWOV Institute for Road Safety Research, The Netherlands
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