早稲田大学石田研究室


Web閲覧時におけるマウスの操作性について

藤田 雄吾


1.はじめに

1995年発売のWINDOWS95によりわが国において主に特別の知識を持ち、特定の職業についている人になじみの深かったパーソナルコンピューター以下パソコン)が一般の特別知識を持ち合わせて入ない人々にも広く普及し始めた.その後WINDOWS98の発売、インターネットによりさらに広く国民に受け入れられるようになってきた.98年から今年2000年のデータを比較してもそれは顕著に表れている.98年度時点のパソコンの普及率は、32.6%で、約3世帯に1台の割合で普及している.インターネット普及率は11.0%で、パソコン3台に1台の割合でインターネットに接続している事になる(図1参照).それに対して2000年2月パソコンの世帯普及率は41%に達し,1年前(1999年2月)に比べ8ポイントの上昇となった。

2.目的

パーソナルコンピューターでWeb閲覧時に主に使用するのはマウスである.そのマウスに近年標準装備されつつあるホイールは,Web閲覧時特にページを上下にスクロールする作業において非常に便利である.しかしホイールの移動ラインは段階的に様々な値を設定できるにもかかわらず明確な推奨値がない.そこでこれをホイール部分のインターフェースについてユーザビリティーの観点から分析しその推奨値をさぐる.

増加するインターネット普及率
図1 パソコンインターネット普及率
参考 平成11年版通信白書

3.実験

まず実際のWeb上での作業と同様の環境を作るため、html言語によりWebページを作成した.ただし実際にネットにつなげるとLANの混雑状況により若干のタイムラグが生じる可能性があったのですべてをオフライン上で作業できるようにネットワークでつながっているMOの中にファイルを作成してそこから作業してもらった.

作成した文章の内容は旅行日記を4パターン,曲目表が1パターンとした.作業時間をより正確に知るために各作業事にページを切り替わるようにした.最初のページと旅行日記までの4ページにリンクをはり、それぞれのページからもう一つの曲目表のページへリンクし、そのページの作業が終了する一つの実験が終了したことを知らせる待機ページへリンクした.作業はWeb閲覧時における予想される作業.つまりリンク先の検索といくつかのキーワードのカウント二つにした.

それぞれの作業においてホイールの移動ラインを通常使用する可能性のある1・3・5・7の4段階に設定しそれぞれの移動ラインの比較を行った.それをNASA・TLX法の各項目毎と、時間を分散分析する事により測定した.精神的要求(MD),身体的要求(PD),時間的圧迫感(TD),作業達成度(OP),努力(EF),不満(FR)という六つの尺度項目でNASA-TLXは構成されているのでそれに伴うフェースシートを作成した.

実験に使用したWebページ
図2 実験で使用したWebページの例

4.結果および考察

実験結果の分析からリンク先検索においては有意差が見られたが,キーワードカウントにおいては有意差が見られなかった.ホイール移動ライン7だけが他の三項目に対して所要時間が多くかかることがわかった(表1参照)(F(3,56)=3.39,P<.01).移動ライン5,3,1の間においては平均所要時間に差があるものの有意とまでは言い切れなかった.

それに対してキーワードカウントにおいては移動ライン7,5,3,1いずれの間においても有意差が見られなかった(図2参照)(F(3,56)=0.67,P=0.57).これはリンク先検索のような状況下においてはホイールの移動ラインが所要時間と密接に関係するが,キーワードカウントのような作業ではホイールの移動ラインよりはむしろ各個人の読解速度が所要時間と関係するため有意差が見られなかったものと思われる.

表1 リンク先検索におけるホイール移動ライン別最小有意差法
分散分析結果

表2 キーワード検索におけるホイール移動ライン別最小有意作法
分散分析結果

ホイール移動ライン1,3,5,7においてはC/D比が最小値である7と最小値である1が主観的,客観的両面においてもWeb閲覧において使いにくいことが判明した.特にホイール移動ライン7はスクロール幅が大きすぎてMISSが非常に多く通常使う分には適さない事がわかった.

ホイール移動ライン別に精神的要求,身体的要求,時間的圧迫,作業達成度,努力,不満の六項目においてそれぞれ分散分析によって分析した結果,精神的要求(F(3,56)=4.91,P<.01),身体的要求(F(3,56)=2.84,P<.05),作業達成度(F(3,56)=2.89,P<.05),不満項目(F(3,56)=3.35,P<.01)において有意差が見られ,時間的圧迫(F(3,56)=0.21,P=0.89),努力項目(F(3,56)=1.35,P=0.26)においては有意差が見られなかった.そこで各項目毎の考察を下記に記した.

表3 NASA-TLXにおける各項目の平均値
NASA-TLX結果

5.今後の課題

本実験ではホイール付きマウスを普段使用している被験者数と使用していない被験者数を同率にしていなかったが,今後の実験では割合を同率にしてホイール移動ラインの数を多くしてその被験者間で違いがあるかどうかを調べても面白いと思う.また実験をしている間ディスプレイ上にストップウォッチなどを提示し,被験者に対して刺激を与える事によって今回の実験と違った主観的評価がでてくるかもしれない.

そしてこれが一番大きな事だが,実験を普通の部屋ではなく実験室でやるべきだった.今回は時間がなかったため実験室を用意することができなかった.

6.参考文献

* (PRUDENTIAL) Internet Usage and Home PC Ownership Among Japanese Consumers Surged in the Last 12 Months
* 平成11年版(99年版) 通信白書
* http://www.global-assist.co.jp/default/no47.htm
* 日経アドレ2000年2月号  毎日START
* ヒューマンインターフェースとコミュニケーション1989年田村
* 浜田:国際標準化、情報処理学会(編)、新版情報処理ハンドブック
* 人間工学 林吉男編 人間工学入門 人間工学教育研究会編


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