被験者が実路で感じる速度と,路上で自動車を走らせ,そのとき助手席からの風景を録画した映像をモニターとスクリーンで被験者に見せて判断させた速度とに,差があるかどうかを調べる.それにより,自動車走行時の映像を用いたシミュレーション実験の有効性を考察することを目的とする.
被験者に実際に車の助手席に乗車させ,その車が何km/hで走っているように感じるのかを答えさせた.一般道路では40,50,60km/h,高速道路では70,80,90km/hの6つの条件で実験を行った.各条件につき,6試行ずつ行った.
実験1で撮影したビデオを編集して,モニターとスクリーンでその映像を被験者に提示した.そして,それが,車が何km/hで走っているときの映像と思われるかを被験者に答えさせた.一般道路の映像では,40,50,60km/h,高速道路の映像では70,80,90km/hの6つの条件で実験を行った.各条件につき,6回ずつ質問した.
追加実験では,モニター条件とスクリーン条件において,被験者がそれが何km/hで走っているときの映像と思われるかを回答させた.その際,速度を提示する前に,一般道路の場合は50km/hの映像を,高速道路の場合は80km/hの映像を被験者につき1度だけ提示した.なお,各条件速度につき,2試行行った.
図1 実路とモニターとスクリーンでの主観速度の比較(km/h)
図2 回帰直線
図3 基準速度の提示の有無による判断速度(km/h):スクリーン条件
1)実路において,速度計を見ずに主観的に自車の速度を判断する場合,実際の車速より遅く速度を判断する傾向がある.
2)モニター,スクリーンを見て速度を判断する場合,実際の速度よりも遅く速度を判断する(ただし,40〜90km/hにおいて).
また,モニター条件において,実際の速度の増加率と,被験者の主観速度の増加率は等しいので,基準速度を提示することにより,被験者はほぼ正しい速度判断ができる.スクリーン条件においても,実際の速度の増加率と,被験者の主観速度の増加率は,ほぼ等しいので,同じことが言える.
3)モニター条件とスクリーン条件とでは,被験者の速度判断に有意な差はない.
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