早稲田大学石田研究室


事務用回転椅子着座時の座面高と圧力の研究

藤田 智子


1. はじめに

椅子の座面高に関する研究は古くから,数多くされている.しかし,理論値と選好値との差が大きいことがGrandjeanなどにより,指摘されており,座面高最適値を客観的手段を用いて,明らかにする必要があると思われる.
 本研究では7段階の座面高における臀部,大腿部,足裏部の体圧分布を測定する.それにより,座面高と圧力値の関係を線形モデルであらわすことを目的とし,最適値を決定する上での基礎データを提供する.

2. 実験方法

1)座面高理論値は平沢が提唱した式による.
2)理論値から2cmきざみで上下7段階で実験を行う.
3)椅子着座時から約3分後圧力を測定する.

3. 結果および考察

1)被験者ごとに,座面高と各部位の圧力値の相関は高く,線形モデルを立てることが可能であることが示唆された.図1に見られるように,臀部,足裏部では座面高が高くなるにつれ,圧力は減少し,逆に大腿部では圧力は増加する.座面高が高くなるにつれ大腿部に圧力がかかるため,臀部の圧力は,相対的に減少したと考えられる.大腿部では座面が高くなるにつれ,椅子前縁部に圧力がかかるようになり,圧力が増加したと思われる.足裏部では,座面高があがるにつれ,足が上部にもち上がり,圧力が減少したためと考えられる.

2)全被験者の座面高を同一尺度上にしたものと,圧力値との間に相関は見られず,全被験者での線形モデルは,立てられないことが明らかとなった.これは,被験者の身体的要因(体重,座高)と正の相関があり,被験者によりばらつきが大きいためと考えられる.身体的要因と圧力の変動の幅に関連があるのは,身体は座面高が変化すると,接触部位が変形し,それにより接触部の圧力が上下するためと思われる.

座面高による圧力の推移グラフ
図1 座面高による圧力の推移グラフ

4. 結論

本研究により以下のことが言える.被験者ごとの座面高による圧力値は線形モデル(Y=aX+b)で表される.ただしYは圧力値,Xは座面高である.なおその線形モデルは身体的要因と関係があるため,全被験者の線形モデルはたたない.


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