早稲田大学石田研究室


文字認識に関する一実験

石松 一真


1. 目的

視覚的に提示される文字数の変化が,人間の文字認識に及ぼす影響を刺激提示からリターンキーを押すまでの反応時間を一つの指標として検討していく.特に日本語の漢字に注目し,語彙に含まれる漢字の語彙数を変化(1文字,2文字,3文字,4文字)させることによる反応時間への影響を考察することを目的とする.

2. 方法

被験者:20〜30歳の人間科学部生32名
手順:被験者に実験に関する教示を与えた後,40四項の練習試行,120試行の本試行の順で実験を行う.
試行内容:CRTディスプレイ上に文字刺激を提示し,被験者は刺激の語彙がわかり次第,できるだけ速く正確にキーボードのリターンキーを押す.CRT上に「報告してください」の提示が出た後,語彙を声に出して報告する.この際,刺激提示からリターンキーを押すまでの時間を反応時間として測定する.

実験システム図
図1 実験システム図

3. 結果

分散分析を行った結果,平均反応時間において,文字数の主効果が有意であった(F(3,93)=41.03, p<0.0001).

また,文字数と平均反応時間との回帰を行った結果,文字数と平均時間との関係について回帰式(1)を得ることができた.

文字数と平均反応時間回帰直線
図2 文字数と平均反応時間回帰直線

4. 結論

語彙に含まれる文字数の変化が人間の文字認識に及ぼす影響を検討してきたところ,文字数の増加に伴い,平均反応時間は増加の傾向にあることがわかった.さらに文字数と平均反応時間との関係は,
 y=94.513x+238.92 (1)
で表され,この式を利用して文字数別の平均反応時間を予測することのできる可能性があることがわかった.


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