早稲田大学石田研究室


快適性の時空間評価法開発に関する研究

森泉 会利子


1. はじめに

通勤,通学,買い物,休日のドライブなど,各個人のライフスタイルに合わせて自動車を選ぶ時代になってきている.女性ドライバーや高齢者のドライバーの増加により,車の扱いやすさ,運転のしやすさが求められるようになったが,さらに楽に運転できる要求も高まっている.また,RVブームなどによる休日の長距離,長時間の運転が増加し,自動車は単なる移動の道具から居住空間として考えられるようになり,快適な時間を,自動車で過ごしたいと思うようになってきた.
 しかし,自動車の快適性は,様々な要因が互いに複雑に影響しあっていて,また,個人の完成によるところが大きいため,評価は非常に困難である.過去の研究では,生理的な評価を行ったものが多く見られるが,ほとんどが静的な状態での実験であり,運転時における誤差が考えられる.主観的な評価法はデザインの分野で用いられて,実際の運転時の評価を行ったものはない.
 そこで今回は,人間のある事象に対するイメージを評価するのに良く使われる手法であるSD法を用いて,自動車の運転時における快適性の評価指標の構築を目的とする.

2. 実験

自動車についての感性を表現するイメージ形容詞を,自動車を運転中のドライバーの発言をビデオテープの音声からおこし,評価用語の種類と発言頻度を求めた.その中で,特に快適性と関係の深いと思われる,ミラー,窓,ワイパー,ライト,視界に関しての発言,シートに関しての発言,ハンドル,ワイパー,ウィンカー,アクセル,ライト,エアコン,ATギア,スイッチ,加速,シートベルト,計器に関しての発言をそれぞれ「視界」,「シート」,「操作性」としてまとめ,そのキーワードを基に検討を加え,SD尺度を作成した.各々,23,18,46の尺度を用いた.これらの形容詞に,SD尺度を付した調査用紙を基に実験を行う.
 一定の走行コースを被験者に運転してもらい,その後直ちに調査用紙に記入してもらった.
 このデータをもとに,SD法の試行方法に基づき,相関係数を算出し,この数値をもとに各概念別,尺度別の相関をあらわす相関行列を求め,因子分析を行い,因子得点,因子負荷量を求める.そして最後に,各因子軸に命名を行う.

3. 結果,考察

因子分析の結果,次のような因子が抽出された.
 視界・・・見やすさ,速さ(スピード感),明るさ,視認性,大きさ
 シート・・・安定性,やわらかさ(かたさ),広さ(大きさ),深さ,姿勢
 操作性・・・操作のしやすさ,同一感(他の車種と同じか),形状,静かさ

 上記の項目で,自動車の快適性が評価されているという結果になった.
 これらの因子を用いて,実際に実験に用いられた自動車の評価を行ってみる.

4. おわりに

自動車の場合,評価項目があまりにも多く,またそれらが相互に関連していること,車室環境の評価とコントロール操作類などの評価は異なる時限と考えられること,さらに走行中に実施するのがかなり困難であることなどの理由から,SD法適用に際しては注意を要するとされてきた.そこで,視界,シート,操作性と3つに分けて自動車の快適性を考え,またそれぞれの評価尺度も,自動車のを運転中のドライバーのプロトコルを用いて作成したために,かなりの確率で快適性を評価できたと思われる.しかし,被験者のそのときの感性(車種の好み,運転歴,運転頻度など)の違いによって評価が変わってしまうことも考えるので,そのほかの生理的評価方法などとともに用いられれば,より信頼性の高い評価方法となりうるであろう.


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