早稲田大学石田研究室


踏み切り道における自動車交通の実態調査
実態調査および通行者アンケート調査による一考察

宮川 茂


1. 目的

現在の都市圏では人口の急増により,鉄道交通量および道路交通量が急激に増加している.したがって,現在の踏切において,鉄道交通と道路交通の安全を確保し,さらにこれ以上交通渋滞が激しくならないように遮断システム及び踏切周辺環境の改善を図ることが最重要課題であるといえる.しかし,従来の踏み切りに関する道路交通問題への取り組みの多くは,鉄道側からの視点による交通事故の防止や障害の検知などを狙いとした踏切の保安に関するものが多い.そこで,今回の調査研究では,道路側交通から見た列車感知,警報時間の設定等を伴う踏み切りの遮断システムや信号制御などの現状改善の余地を考える.

また,踏切における渋滞の原因の一つに,踏切直前での一旦停止義務行為など交通規制の問題がある.そこで,踏切直前での停止行為の履行状況についても調査し,その影響及び必要性について考察する.さらに,今回は参考として,踏切直前での一旦停止義務が免除となる交通信号機つき踏りの現状についても調査する.

上記の問題解決のためには,踏切における交通減少の実態を把握することが不可欠である.今回の調査では,調査対象の踏み切り通行者にアンケート調査を行い,踏切の実態と踏切通行者の主観との両側面から総括的に問題解決を考えていきたい.

2. 調査方法

調査対象踏切として,横断長が長い・短い,幅員が広い・狭いという4つの特性をそれぞれ組み合わせて,「長い−広い」,「長い−狭い」,「短い−広い」,「短い−狭い」の4種類の踏切を選出した.選出踏み切りについては以下のとおりである.

(1)小金井街道踏切
 中央本線 武蔵小金井駅構内
 横断長=21.0m 幅員=11.7m(歩道幅員4.4m,車道幅員7.3m)

(2)弁天道踏切
 中央本線 武蔵小金井−国分寺間
 横断長=10.0m 幅員=10.0m(歩道幅員3.2m,車道幅員6.8m)

(3)稲城長沼1号踏切
 南武線 稲城長沼駅構内
 横断長=10.5m 幅員=5.2m
 *朝7:30〜8:30まで川崎街道方向への一方通行

(4)初沢踏切
 中央本線 高尾駅構内
 横断長=19.6m 幅員=5.9m(歩道幅員1.0m,車道幅員4.9m)
 *朝7:30〜8:30まで甲州街道方向への一方通行

(5)新田堀踏切(交通信号機つき踏切)
 山手貨物線 池袋駅構内
 横断長=17.0m 幅員=24.0m

調査対象踏切をビデオカメラで撮影し,以下の内容についてデータの収集を行った.
・警報,遮断時間
・警報,遮断回数
・警報時より電車が来るまでの時間(以下,鳴る−来る,とあらわす)
・遮断時より電車が来るまでの時間(以下,閉まる−来る,とあらわす)
・一回の遮断で2本以上の電車が通過する場合,1本目の電車が通過してから2本目の電車が来るまでの時間,そして2本目の電車が通過してから3本目の電車が来るまでの時間,・・(N-1本目)の電車が通過してからN本目の電車が来るまでの時間(以下,N-(N-1本目),とあらわす)
・踏切通過自動車台数(大型車(1.5t以上)・普通車別)
・停止,制動車数,および警報時進入車台数
・遮断停止先頭車の踏切通過経過時間および踏切通過速度

ただし,このデータに限り小金井街道踏切では7:30〜8:30の間,車両通行止めとなるためデータの収集は行っていない.また,弁天道踏切についてはビデオ撮影状態が悪かったため,このデータの収集は行わなかった.
 また,各調査対象踏切の通行者に,踏切を通行していてどのように感じているかをアンケート調査した.なお,アンケート回答者には調査対象踏切を日ごろから良く通る20歳以上の人を選んだ.

3. 調査結果

小金井街道踏切見取り図
図1 小金井街道踏切見取り図

弁天道踏切見取り図
図2 弁天道踏切見取り図

初沢踏切−朝(7:00〜9:00)の鉄道側交通の実態
図3 初沢踏切−朝(7:00〜9:00)の鉄道側交通の実態

表1 制動率および警報後進入車数
制動率および警報後進入車数

4. 考察と結論

小金井街道踏切の最大の問題点は長い遮断時間にある.その遮断時間は,遮断中に電車が通過しない無駄な遮断時間がほとんどである.したがって,警報・遮断システムを改善し,警報・遮断システムを適正化することが必要である.または,早急に立体交差化するか,付近に迂回路をつくることが必要である.弁天道踏切の最大の問題点は隣接交差点にある.何らかの交通規制が必要である.稲城長沼1号踏切は,狭すぎる幅員,および前後の道路の狭さと見通しの悪い道路形態が大きな危険要因となっている.初沢踏切の最大の問題点は,1回の遮断時間が非常に長いことである.無駄な遮断時間をなくすことが必要である.新田堀踏切(交通信号機つき踏切)は一般の踏切に比べ横断長が短く,幅員が広い.また,遮断時間・回数が非常に少なく交通流を妨げる可能性が非常に少ない.一般の踏み切りに適用することは困難である.
 また,踏切直前での自動車の制動行為は,踏切の横断長,幅員,立地条件(隣接交差点や踏切前後の道路形態)による影響を受ける.


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