早稲田大学石田研究室


チーム編成が故障除去作業のパフォーマンスに与える影響

福井 美保子


1.はじめに

システムの巨大化につれて航空機のクルーやプラントのオペレータのようにチームで作業する機会が増加した。その結果としてチーム間のコミュニケーションがうまく図れなかったことで事故が発生するようになった。本実験ではチーム編成とメンバー相互間のコミュニケーションが作業パフォーマンスに及ぼす影響を、異なる信頼度のメンバーを組み合わせ、調査した。また、エラー時のコミュニケーション、作業状況から、チームの権限の傾斜によって起こるエラーパターンを検討した。

2.方法

2人の被験者がプラントを監視するオペレータとなり、協力してパソコンで作成されたプラントシュミレータ(図1)に発生する単数もしくは複数の故障(ポンプの開固着、閉固着、配管のリーク)をマウス操作により取り除くというものである。

プラントシュミレータ
図1 プラントシュミレータ

チーム編成は(1)シュミレータの仕組みをよく理解している被験者同士からなるチーム(2)あまり理解していない被験者同士からなるチーム(3)良く理解している被験者とあまり理解していない被験者とからなるチームの3チームである(表1)。

表1 チーム編成
チーム編成

3.結果・考察

3−1.データの整理

操作データは実験プログラムにより自動的に記録し、それにプロトコルデータを加えた。そして作成したプロトコルデータ分類表(表2)を用い、各チームにどのようなコミュニケーションが行われていたのか分析した。

表2 プロトコルデータ分類表
プロトコルデータ分類表

また本実験で観察されたエラーパターンを(1)双方向誤認識エラー(2)双方向不認知エラー(3)双方向不特定エラー(4)双方向勘違いエラー(5)一方向誤認識エラー(6)一方向誤認識否定エラーの6つに分け、各チームがどのようなエラーを発生させたかを分析した。

3−2.結果・考察

シュミレータについての理解度に格差のあるチームでは指示が非常に多く、コミュニケーションも上の立場の被験者から行うことが多かった(図2)。

プロトコル分類
図2 プロトコル分類

このような絶対的な上下関係を築いていたチームは、下の立場のものが上の立場から指示を信用し、誤った指示がなされても気付かずに行動してしまうことでエラーが発生する傾向が見られた(表3)。

表3 各チームに発生したエラーパターン
各チームに発生したエラーパターン

またコミュニケーションが双方向からも同等数、検出でき、お互いによくコミュニケーションが取れたと思われるチーム(図3)であっても、上下関係がなく2人が対等な関係であるために、どちらの意見も採用することによってかえってエラー数が増えたという結果につながった。

プロトコル分類
図3 プロトコル分類

4.まとめ

チーム間には上下関係が必要であるが、その権限の勾配があまりに急すぎてもいけない。

5.参考文献

・ F.ホーキンズ 黒田 勲:"ヒューマン・ファクター −航空分野を中心として−"成山堂書店、1992
・ 黒田 勲:"ヒューマン・ファクターを探る−災害ゼロへの道を求めて−"中央労働災害防止協会、1990
・ 海保 博之 原田 悦子:"プロトコル分析入門"新陽社、1993
・ 垣本 由紀子:"航空における情報取得とパイロットエラー"国際交通安全学会誌 Vol.26,No.2、2000
・ 増田 未知:"チーム編成が組立作業時のパフォーマンスに与える影響"早稲田大学卒業論文、2000


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