早稲田大学石田研究室


女性の下着着用時における圧迫感の測定

斎藤 紋


1. 目的

今回の実験にさしあたって,女子大生100人にブラジャーに対する不快因子の調査を行った.その結果,アンダーバスト部がずれる,アンダーバスト部がきついという条件のときに不快に感じると答えたものが各々50%にのぼった.ブラジャーがその性質上肌に最も近いものであるということから考えると,アンダーバスト部のわずかな動きが使用者の心理に影響を与えやすいということも考えられる.アンダーバスト部と評価にはどのような関係があるのだろうか.体位の変化(運動)・被験者の体型・部位などの要因を挙げ,圧迫感や不快感が何によって最も影響を受けているのかを検討する.

2. 方法

2.1. 実験場所

早稲田大学人間科学部516行動観察室

2.2. 被験者

人間科学部女子6名

2.3. 実験方法

被験者のバストを測定し,JIS規格の指定に基づいて適合サイズ・一回り大きいサイズ,一回り小さなサイズのブラジャーを渡す.これと同じ順番で装着してもらい,同時に乳房下・脇・肩甲骨下に圧力センサーを付着する.姿勢の変化は立脚位正常姿勢・立脚位前屈姿勢(手を伸ばして曲げふくらはぎにつく程度)・座位正常姿勢・座位前屈姿勢(手を伸ばして前に曲げ足首につく程度)の4姿勢である.データの確実性を高めるためこの実験を2回繰り返した.

この実験後,もう一度同じ順番でブラジャーを装着してもらい,不快感に関する心理評価を行ってもらう.姿勢も圧力測定実験と同じ4姿勢でそれぞれの姿勢ごとに心理評価を行ってもらう.

3. 結果

1)Aカップの被験者はサイズや圧力の差に敏感でなく,特に肩甲骨下においてはかなりの圧力がかかっているにもかかわらずどのサイズにおいても不快感を感じていない.
2)Cカップの被験者はサイズや圧力の差に敏感で,特に脇においては高い圧力と共にかなりの不快感を持っている.
3)AカップにおいてもCカップにおいても乳房下の圧力は少なく評価も低い.
4)評価は一つの要因のみでなされるものではない.

4. 考察

1)圧力は皮下脂肪の影響を受けやすい.Aカップの被験者は測定した結果皮下脂肪が少なく,特に背中においてはそのために偏平な形をしている.姿勢により皮膚は伸縮する性質があり特に前屈姿勢においてはかなりの伸び率を示す.しかし肉付きの悪い偏平な背中は皮膚の伸縮率も悪い.したがって,圧力がアンダー部に与える圧迫は,アンダー部の皮膚に伴う素材の伸縮の少なさや,脂肪の締め付けがなされないなどにより,それほどに感じられるものとなっていないのであろう.図1と図2に代表としてあげた.

心理評価とアンダーサイズとの関係
図1 心理評価とアンダーサイズとの関係

圧力とアンダーサイズとの関係
図2 圧力とアンダーサイズとの関係

2)Cカップは計測の結果よりAカップよりかなり皮下脂肪の量が多い.そのため皮膚の伸縮性やアンダー部の伸び,脂肪の締め付けが心理的にAカップより高い評価をさせているものと考えられる.特に脇においては体型補正という構造が乳房の広がりを抑え,脇のゼイ肉を抑えるようにできており,そのことも重なって,かなり高い圧力がかかるようになっている.したがって,かかる圧力もそれに対する心理評価も高くなることが考えられる.

3)乳房は脂肪の塊で,動作に伴う流動性が大きい.またアンダー部のワイヤーが大きな範囲で乳房の周囲を覆うようになっており,肌への密着性がなく,乳房の移動に流されやすい.したがって,AカップにおいてもCカップにおいても乳房下は,乳房の脂肪に圧力が阻害されたり,肌からアンダー部が浮いたりして圧力が一定しないものと考えられる.

5. 結論

圧力と心理的不快感の関係を様々の条件のもとに検討した.その結果心理的評価が必ずしもサイズや圧力に影響されているのではなく,複数の条件の影響を受けていることがわかる.部位・皮下脂肪の量・姿勢・カップ体型・サイズ・圧力・被覆面積・素材の伸縮性などである.したがって,従来の単一的なブラジャーの構造を改めあらゆる要素を駆使し,心理的負荷の少ないブラジャー設計を探求していかなければならないことが明らかになった.

また,今回の実験でさらにブラジャーに求められていることとして,Aカップのブラジャーの脇において座位正常姿勢の時,適合サイズのアンダーバスト70cmの圧力が,内臓に変形をもたらす40gf/cm・cmをはるかに超えている.不快感の心理評価も5(やや感じる)となっており,精神的側面においても,身体的側面においても,脇部の圧力の減少が可能となるブラジャーの構造が求まれる.これは,Cカップのブラジャーにおいても同じことが言えるのであるが,適合サイズのときに前屈など動きを伴うと,心理評価は不快感を示さないが,圧力が40gh/cm・cmをはるかに超えている現状があるので,この場合も圧力の減少の構造を考えなければならないといえるだろう.


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