早稲田大学石田研究室


下着着装時における圧迫感の測定

和田 香


1. 目的

衣服が人体にどの程度適合しているかを測定することは既製服の品質を高めるうえで重要な問題である.そこで従来から,被服圧測定や官能検査法によって評価する試みが行われている.中でも,人体への密着度の高い例としてブラジャーがあげられる.

これまでにも述べたように,ブラジャーについては生産者側の考えている消費と実際の消費が異なる.十分な知識を持っていないため,サイズの合わないものを使用している消費者が多い.第3章では,消費者側から見て市販のブラジャーにはどのような問題点があるかを調査した.

一般的に着心地のよい衣服とは,衣服の身体への拘束性が重要な問題になってくる.衣服の拘束性については,圧迫度合の評価を中心に扱われ,衣服圧計測と圧迫感を調査した官能評価による手法が用いられている.衣服による過度の締め付けが身体に悪影響を及ぼすことが今までにも指摘されており,生理・衛生的にも重要な問題であるが,着心地にはこれらの圧迫性と共に動きやすさに関与する運動機能性の善し悪しが大きなかかわりを持つと言える.

そこで本実験では衣服の中でも密着度の高いブラジャーを取り上げ,このブラジャーについて一般の消費者はどの程度の圧迫を感じているか,またその圧迫感をどの程度不快に感じているかを調べる.

2. 方法

2.1. 実験場所

早稲田大学人間科学部516実験室

2.2. 被験者

被験者としては早稲田大学人間科学部の女子学生100名(19〜23歳)を選んだ.

2.3. 実験試料

本実験では,ワコールの3/4カップワイヤー入りブラジャーを使用する.素材はポリエステルとナイロンである.

2.4. 実験方法

実験者のアンダーバスト及びトップバストを測定し,被験者に適合するブラジャーを選定する.この適合サイズとこれより1サイズ大きいもの,1サイズ小さいものの計3種類のブラジャーを被験者にわたし,圧迫感および不快感に関する各項目に関して,非常に,かなり,やや,どちらでもない,あまりない,ほとんどない,まったくないの7段階で評価させる.その際実際にブラジャーを着用し,評価をさせる.

3. 結果

3.1. ブラジャー着用時における不快感

ブラジャーの着用感について約50%の人が気分が引き締まる評価をしている.また,同じように約50%の人が安心感があると評価している.

これは,ブラジャーが現在では女性にとっての必需品となっており,ブラジャーを着用することは当然であると言う意識から来るものであると言える.

また,選択の際に重視する項目の中では,50%以上の人が動作適合性および体型補正を選んでいる.また設計上のポイントとしては,アンダーバスト部がきつくないものを選んでいる人は57%である.つまり,ブラジャーに求められているものは,体型補正(胸を形よく見せる,胸を大きく見せる,小さく見せる等)など,やはり胸の造形に関する事項が多くなっている.そして,やはり楽な着心地が不可欠である.このように,肌に直接着用するだけに,下着は着心地に関する項目が今のところ一番重要とされている.また,着用時に不快感としては肩ひもがずれるが最も多く,ついでアンダーバストがきついと評価している人が多い.

3.2. 因子分析について

3つの因子の特徴を考えると,まず第1因子は圧迫感及びその圧迫感を不快に感じるかと言う「圧迫感の因子」と解釈できる.第2因子はバスとの形にあっている,底面積があうなどカップの形状についてで,「フィット感の因子」と解釈できる.第3因子はカップの上辺があまる,浮くなどゆとり度を表しているため「ゆとりの因子」と解釈される.また第2因子と第3因子は完全に独立ではなく,ある程度のかかわりがあるといえる.
 以上のことから,1),2),3)項目つまり,ワイヤ,脇,ホックをチェックすると圧迫感に関して全て分かると言える.

また,16)カップが余る,17)バスとの形にあっている,についての調査を行えば,その人のバスとのブラジャーがあっているかどうかがわかるといえる.
 以上のことから,個人の判断は第3因子までの3つを評価しており,この3点について調査すれば圧迫感に関して知ることができると言える.

3.3. 項目間の相関

それぞれ1)と7),2)と8),3)と9),6)と10)の項目の相関係すが高い.したがって,各部位に圧迫感を感じる場合,ほとんどがそれを不快と感じていると言える.また,全体評価に効いてくるのはブラジャーの形状と圧迫からの不快感である.

3.4. プロフィール

サイズ別に見ると,AカップおよびBカップの人は小さくなければいいと思われる.それに対してCカップおよびDカップの人は小さいものを余り好んでない.胸全体の圧迫感についてはB,Cは強いがAはない.全体的にみると,必ずしも適合サイズの評価がいいとはいえない.評価自体は,サイズが大きいほど良くなっている.これは,調査からも分かるように,ブラジャーを選ぶポイントとして圧迫のないものという条件が大きく評価に関わってくると言える.

4. 結果および今後の課題

4.1. 結論

ブラジャーの使用感においては,以下のことが言える.

・ほとんどの人が適合のブラジャーにおいても圧迫を感じている.
・圧迫感についてはほとんどの人が不快と感じているが,必ずしも全員がそう感じているわけではなく,適度の圧迫は安心感や緊張感を与え,良いとされる.
・ブラジャーを総合的に評価する場合,圧迫感によってのみ影響されるわけではなく,むしろカップの形状があっているかどうかに影響される.

4.2. 今後の課題

本実験では,主に圧迫感,不快感を中心としての実験であったが,着用間に影響する要因は必ずしも,圧迫感だけでなく,素材などもある.また最近では機能性だけでなく,おしゃれを楽しむために購入する消費者も多く,そのため多種多様なブラジャーが売られている.こういった種類のものが機能的に優れているかということは今後の問題になってくる.
 又ブラジャーとは体型補正という目的が大きい.そのため多少の圧迫や締め付けはやむをえないが,適合するものでも着用者が圧迫を訴え,それを不快とすれば,そのサイズは適合とは呼べないのではないだろうか.
 生産者側と消費者側の求めるものが,違うのではないだろうか.


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