早稲田大学石田研究室


カメラ操作における一実験

平野 よう子


1. はじめに

オートフォーカス(AF:自動焦点式)カメラが開発され,だれでもピントの合う写真を取れるようになってきた.しかし,AFの苦手とする構図(被写体がフォーカスマークの外の場合)ではピンボケとなることがある.その欠点を補ったものがマルチAFカメラである.
 アンケート調査では,多くの人が記念撮影などで写真を撮る機会があると答えた.そこで,だれにでもピントの合う写真を撮影できるカメラについて考える.

2. 目的

オートフォーカスカメラのAF機能に着目し,ピンボケについて比較する.おもに,従来のAFカメラとマルチAFカメラの比較を行う.

3. 方法

3種類の条件を設定し,2台のカメラを使って撮影を行う.以下の要領で実験し,データ解析をする.

 (1)被験者:大学生26人.うち男子13人.女子13人.
 (2)実験期日:1990年10月2日 11:00〜13:00
 (3)実験場所:早稲田大学所沢キャンパス(屋外)
  天候:薄曇り(照度:2761lx)
 (4)装置・器具:使用するカメラは次の2台である.
  フジ・コンパクトAFカメラ(TW−300IIデート)
  チノン・コンパクトAFカメラ(マルチフォーカスAUTO30001)
  ほかに,白黒フィルム,輝度計,ランドルト環の表(2枚),アンケート用紙,ついたて,印画紙など.
 (5)手順と条件:ランドルト環表を被写体として,表1のように3条件×カメラ2台で,計6枚の写真を撮る.

表1 写真撮影の条件
写真撮影の条件
*ランドルト環を端に写すと,フォーカスフレームに入らないので,ロックをしないとピンボケになってしまう設定である.

(6)データ解析の手順:写真に写したランドルト環をもとに点数をつける.最大のランドルト環を2点,最小を40点とし,読み取れる最小のものの点数をつける.点が高いほどシャープな写真となる.
 条件別に平均値を求め,条件の違いや性別の違いでピントに有意差があるかをt検定,χ2検定,F検定で調べる.

4. 結果

表2 条件別平均値の一覧
条件別平均値の一覧

検定の結果を以下に示す.()内は検定水準

(1)AFカメラはマルチよりピントが合う(1%)
(2)AFカメラでは男女差が見られない
(3)AFカメラでは被写体が端のときピントが合わなくなる(1%)
(4)AFカメラでロックを使用すると使用しないよりピントが合う(1%)
(5)マルチでは男子が女子よりピントが合う(1%)
(6)マルチでは被写体の位置によってピントに差がない
(7)マルチはロックなしでピントが合う


5. 考察

被写体がフォーカスマークの外のとき,AFカメラのロックが適切に操作できればピントが合うが,不適切になることが多い.ロックの操作が押しボタンの押す量で調節しなければならず,それが難しいためだと考えられる.よって,ロックなしで撮影できるようがよい.
 マルチAFカメラはAFロックなしでピンとの合う写真を取れるので,だれにでも間違いなく撮影できるといえる.


6.まとめ

被写体が端のとき,従来のAFカメラではロックをしないとピンボケになる.そのロックの操作は難しい.
 マルチAFカメラはロックなしでピントの合う写真を撮影できるという点で優れているといえる.


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