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事故傾向と注視行動およびリスク知覚に関する研究

 普通のドライバーと事故を繰り返してしまうドライバーのどこが違うのかを分析しています.最近の研究では運転場面で注視行動(どこを見ていたか)とリスク知覚(どのタイミングでどのくらい危ないと感じたか)を計測しました.その結果,事故を繰り返すドライバーは危険な対象の発見や危ないと思うタイミングが遅いことが明らかになってきています.

研究成果とモデル

建設作業現場におけるコミュニケーションエラーの研究

 建設現場では多くの作業者が働いているため、コミュニケーションがうまくいかないこと(コミュニケーションエラー)が災害発生につながる可能性があります.そこで、建設現場で発生した災害事例の分析や建設現場で働く方々約1,000名を対象とした質問紙調査,建設現場を模擬したコミュニケーションエラー誘発実験などにより,建設現場のコミュニケーションエラーにはどんなパターンがあり,どのような状況で発生するのかを検討しています.

質問紙に用いた漫画の一例

エラー誘発実験の様子

映像による効果的な運転者教育

 映像による効果的な運転者教育の研究をしています.「緊張が教育に効果的」と考えて緊張を心拍や呼吸で測る方法を開発中です.その測定法で実際の運転・シミュレター・ビデオの違いを評価し,どの方法が効果的かを見きわめます.さらにその方法を応用して効果的な教育を実現することが最終目標です.また、リアルな映像の副作用である「映像酔い」の測定・防止法について研究し,副作用の少ない映像による教育をめざしています.

交通事故の過失割合に関する研究

 交通事故を起こした両方の当事者の責任の割合を過失割合と言います.この過失割合の認識が両当事者で一致していれば,揉め事は起こらないのですが,実際は多くの紛争が起こっています.このメカニズムを解明するために,同じ事故を別の視点からCGで見せ,別の立場から過失割合を判断してもらう実験を行いました.その結果,同じ事故でも視点が異なると過失割合の判断にずれが生じることが明らかとなりました.

実験に用いたCG映像

誤薬の低減に向けた看護師への教育プログラムに関する研究

 医療現場では内服薬の間違った投薬が数多く発生しています.安全な与薬業務を遂行するためには,実際に業務を遂行する看護師に対し,その手順や知識など必要なことを教育する必要があります.しかし,残念なことに,現在はそのための教育プログラムとして有効なものはほとんど開発されていません.そこで,まず看護師に必要とされる知識や行動を明らかにし,内服与薬業務を遂行する際に発生するミスを減らすための看護師への教育に効果的なツールを作成することを目的とし研究をしています.

パイロットのリスク知覚と対処行動に関する研究

 パイロットがリスク(状況の危険さ)を誤って判断すると事故の可能性が高くなります.そこで,パイロットがどのようにリスクを判断しているのかを明らかにするために,いくつかのシナリオから,感じられるリスクや対処行動を回答してもらいました.その結果,訓練生は結果の重大性にとらわれて単純な評価をしているのに対し,ベテランパイロットは対処可能性や他の航空機,地上の状況など様々な情報を総合して複雑な判断をしていることがわかりました.

対処行動フローの一例

製造業における事故防止ルールの研究

 産業現場では事故を防止するために,労働法で定められる諸規則の他に,各職場が様々な自主的な安全ルールを作り,各職場で適用させています.しかし、そうした決まりやルールが間違ったものであったり,現場への適用の仕方を間違えていたりすると,かえって現場の安全の妨げとなる恐れがあります.そこで,製造現場への質問紙調査やインタビューを中心に,「産業現場における事故防止ルールの運用実態」を明らかにし,そのうえで,より良い改善策を提言してゆきたいと考えています.

運転者支援と依存に関する研究

現在,交通事故削減のために,運転者に対する情報支援システムの導入が検討されています.しかし,情報支援の方法や活用方法を誤ると,より危険になる可能性も考えられます.例えば,見通しの悪い一時停止交差点における出会い頭事故対策として,交差車両の情報を支援するシステムがあります.本研究ではこのシステム導入よる運転者の行動変化を明らかにし,安全なシステムの開発に役立てたいと考えています.

運転支援システムの例

音声による情動評価

 パイロットの「声」の周波数成分を分析し,緊張状態を推定する手法を確立する研究を行っています.緊張状態と心電図,瞳孔径に関係があることはわかっていますが,飛行中に心電図を取ったり瞳孔径を測ったりすることは困難です.そこで,心電図や瞳孔の変化などと「声」の分析結果との関係を調べることで,飛行中のパイロットの会話の声の周波数から緊張状態を推定する試みを行っています.

昼間点灯に関する研究

 日中にライトを点灯させて自動車を運転する,昼間点灯(ちゅうかんてんとう)という取り組みが欧州の多くの国で義務化されていす.日本でも自治体や企業レベルで義務化,推奨されています.この取り組みによって,事故が減少した・安全意識が向上したといった報告があります.逆に,歩行者や二輪車が見えにくくなるのではないか,歩行者等の第三者がまぶしく感じるのではないかという懸念もあります.こういった問題点を調査・実験によって明らかにし,より安全な方策を考えています.



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